3-7   試験・調査の「目的」を表す文

試験報告書をはじめとして、技術報告書の第1章はおおむね「目的」です。試験あるいは調査の「目的」を表す際に大切なのは、見出しの直後で「何によって何を明らかにするか」を明確に述べることです。

1. 目 的 

 本試験では、15,000時間使用後の検査で探傷反応があったHD10型熱交換器用伝熱管支持板(P20575-01支持板SUS430鋼製)の液体浸透探傷検査とSEM観察を行って、応力腐食割れの有無を確認する(以下略)

「結論」は、「目的」への答えです。「目的」で「何によって何を明らかにするか」を明確にすると、「結論」で「それによって何が明らかになったのか」を的確に述べられます。

5. 結 論

 15,000時間使用後のHD10型熱交換器用伝熱管支持板(P20575-01支持板)に応力腐食割れはなかった以下略)

「何によって何を明らかにするか」を表す文には、いくつかの形があります。

 本試験の目的は、《ある事象》を《解明》することである。   ・・・ 「本試験の目的」を主語にした名詞文

 本試験は、《ある事象》を《解明》することが目的である。   ・・・ 「目的」の語を述語に移した名詞文

 本試験は、《ある事象》を《解明》することを目的とする。   ・・・ 「本試験」を「文の主題」にした引用表現

 本試験では、《ある事象》を《解明》する。                   ・・・ 執筆者を「省略された主語」にした動詞文

 《ある事象》を《解明》するため、《試験》を《実施》する。  ・・・ 従属節と主節で構成された複文

 一つの形にこだわらず何を目的とするかで使い分けると、文に無理がなくなります。

 今回は、上記の形の有効な使い方を述べてゆきます。

1.     陥りやすい事例: 経緯が主体になった「目的」

2.     「目的」を表す際に使う文

3.     「目的」を表す名詞文

4.     「目的」を表す引用表現

5.     「目的」を表す動詞文

6.     「目的」を表す複文

7.     文体の使い分け

8.     「目的」を表す段落

9.     「試験・調査の目的」の大別

10.   「試験・調査の目的」を表す際の目的語および述語

まとめ

後 記 

© Yamanouchi Takaaki 2024

[注]今回のテーマは他の回と関連するため、以前に解説した内容と重複する箇所があります。


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