4-1   目的語と述語の対応

 ここでの「目的語」とは、他動詞が表す「働きかけ」の対象となる語です。技術文書では、「自身が対象になんらかの働きかけをして変化を与える文」や「他者に対象への働きかけを指示する文」などが使われます。

(私は)試料を加熱した。 (私たちは)製品の仕様を変更する。 (あなたは)電源をオンにしてください。

その一方で、目的語と述語との対応が不自然な文をしばしば見かけます。

3号機の起動を停止する。

  ・・・ 「起動しつつある動作」を停止するのか。「起動という行為」を取りやめるのか

運用指針の改定を確認した。

  ・・・ 「運用指針の改定」の何を確認したのか。要否、可否、是非、内容、方法それとも何なのか

電源装置の温度制限を実装した。

  ・・・ プログラムなどの事物ではなく「温度制限」という動作あるいは行為を装置に「実装する」ことができるのか

部品を小型化する仕様変更を検討した。

  ・・・ 「部品を小型化する」こと自体が「仕様の変更」ではないのか

出荷量の調整を行った。

  ・・・ 「出荷量の調整」自体が行為であって、それを「行う」とする必要はあるのか

電源を予備機に切り替えを検討した。

  ・・・ 「電源を予備機に切り替え」という体言止めが目的語として適切なのか

目的語は、働きかけの対象となりうる「人」、「物」あるいは「ことがら」であることが基本です。

序盤では、目的語がどのように述語に係るのかを述べます。以降は、技術文書で陥りやすい事例をあげて、その直し方を解説します。

1.     「働きかけ」の対象としての目的語

2.     述語との対応が不十分な目的語

3.     陥りやすい事例:語が過度に省かれた目的語

4.     陥りやすい事例:「その何を」が欠落した曖昧な目的語

5.     目的語と述語の対応が不十分になる原因

6.     陥りやすい事例:「実体がある物」とは扱いにくい目的語

7.     陥りやすい事例:述語と語意が重複する目的語

8.     陥りやすい事例:述語と整合しない目的語

9.     陥りやすい事例:“体言止め”の目的語

まとめ

後 記 

© Yamanouchi Takaaki 2024

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