4-16 複文の添削:「ため」が連なる複文
技術文書では、複文で原因・理由を表す際も目的を表す際も形式名詞「ため」で節を関係づけるのが通例です。複文は一つの節に一つの節をかけるのが原則ですから、その際の「ため」は文に一つです。
内部に雨水が侵入したため、回路が短絡した。 ・・・ 原因の「ため」
庫内温度を下げるため、冷却水の循環速度を上げる。 ・・・ 目的の「ため」
原因・理由の「ため」と目的の「ため」が的確に使い分けられていても、1文に二度あるいは三度と「ため」出てくると読みづらいばかりか何に焦点を当てた文なのかがはっきりしなくなります。
A国ではガソリンへのアルコール混入への規制が緩やかなため、流通しているガソリンにはアルコールが多量に含まれているため、アルミニウムとアルコールが直接に反応したため、ドライコロージョンが生じたためアルミ合金製の燃料配管が腐食したと考えられる。 ・・・ 「ため」が四つ現れる複文
今回は、理由や目的などの「ため」が連なって文意が曖昧になった複文の直し方を解説します。
1.
文に「ため」がいくつも連なる原因
2.
目的、理由および原因での「ため」の違い
3.
陥りやすい事例:原因の「ため」の連続
4.
陥りやすい事例:原因の「ため」が連なった「理由」
5.
陥りやすい事例:前提を理由扱いにした「ため」
6.
陥りやすい事例:目的の「ため」と目標の「ため」の連続
7.
陥りやすい事例:理由の「ため」と目的の「ため」の混在
8.
陥りやすい事例:「ため」と「により」の混在
まとめ
後 記
© Yamanouchi Takaaki 2024
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