5-2   連体助詞「の」を使う際の留意事項

 連体助詞「の」を伴った修飾語は、被修飾語になんらかの意味的な限定を加えます。連体助詞「の」は、修飾語によって被修飾語の「どの/何の」を絞り込む使い方に加えて修飾語が有する属性の「その一つ」を被修飾語が指定する使い方の二つが基本です。 

修飾語によって被修飾語を絞り込む使い方

2019年度の売上高   ・・・ どの「売上高」なのか

被修飾語が修飾語の属性の一つを指定する使い方

売上高の事業部別内訳   ・・・ 「売上高」その何なのか
                      *いずれも「当社の売上高」であることを前提にしている。

上記の二つを組み合わせた使い方もあります。この際は、「の」が二つあっても無理がありません。

「どの」と「その」を組み合わせた形

2019年度の売上高の事業部別内訳  ・・・ どの「売上高」のその何なのか

語を単に連ねるために連体助詞「の」を使うと、書き手が表そうとする意味と読者の理解とが異なる名詞句ができかねません。

新品のオイルシールの交換

・・・ 「新品のオイルシール」であるはずなのにそれを交換すると読めてしまう。

A国のリサイクル率の向上策

・・・ 「資源」ではなくA国という「国」の「リサイクル率」を上げる方策と読めてしまう。

しばしば、連体助詞「の」は連ねるべきではないとされますが、「適切を欠いた連ね方をすべきではない」というのが本当です。

今回は、二つの連体助詞「の」を伴って3連の形をとる名詞句を表す際の留意事項に重点を置いて解説します。三つ以上の「の」が連なる名詞句の直し方は、別の回で解説します。

1. 連体助詞「の」の使い方

2. 連体助詞「の」が連なる際の留意事項

3. 陥りやすい事例:「21」の関係が曖昧な3連の名詞句

4. 陥りやすい事例:「12」の関係が曖昧な3連の名詞句

5. 連体助詞「の」の限界

6. 陥りやすい事例:「係り先」が曖昧な形容詞を伴った名詞句

7. 陥りやすい事例:形容詞の接頭辞への置き換え

8. 陥りやすい事例:名詞句の複合語化

9. 陥りやすい事例:「体言止め」が組み込まれた名詞句

まとめ

後 記

© Yamanouchi Takaaki 2024

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